れきょぱのDIY紀行

DIY記録を書いていきます。誰かの参考になると幸いです。

 

へたってしまったダイニングチェアーのクッション交換

1.ダイニングチェアのへたり

 我が家のダイニングチェアは15年程前に購入したものですが、最初は座面が高過ぎる程にクッションがフカフカだったのですが、今ではペチャンコにへたってしまい、表生地もかなり汚れてきてしまっていました(木材はマホガニーですが、ネットで安価な中国製を探したのでそれほど高価ではありません~)。数年前からクッションを入れ替えたいと妻と話していたのですが、自分でできるのかも分からないためずっと先延ばししていたのですが、ようやく重い腰を上げてクッション交換に着手することとしました。

(写真で座面の四角い跡は、あまりにへたってしまった座面の上に低反発の四角いクッションを乗せていた跡)

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2.クッションの分解

 先述の通り、この椅子は通販で買った物のため、バラバラで送られてきて自分で組み立てた物でした。クッション部分をばらせるのかは分からないため、長年手を付けずにいましたが、ある時妻が思い立ち、1つの椅子を自分で分解してしまいました(これは通常の六角レンチで分解可能)。ただ椅子の座面とクッションをばらすことが出来ず、「やっぱり取れない!ノミかなんかでバラすしかないみたい。やっぱり安い中国製はダメだよ~。ノミ持ってたよね。分解して!」と泣きついてきました。(中国の関係者の方、済みません)うちの嫁は中国嫌いで色々と偏見を持っており、私はいくらなんでもクッションを外せないようには作らないんじゃないのかな?と思ったのですが、取り敢えずノミとハンマーを用意して、分解する準備をしました。ただ、ノミを打ち込む前に今一度椅子を良く見ると、まだ座面の裏にネジがいくつか残っていました。(下の写真は別の椅子の分解する前の状態です。黒く表に見えるボルトは妻が全て外して座面と脚部はばらされていたのですが、丸い小さな黒く見えているザグリ孔の奥に木ネジが止まっていました。)

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 自分での組立の時には扱わなかったネジですが、叩き壊す前に取り敢えずネジでばらせる分を全部ばらしてみようと思い、残っているネジを外してみました。すると、あっさりとクッション部が外れました!危うくノミでぶち壊してしまうところでした…。

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3.古い生地とウレタンの除去

 クッション部が椅子から外れれば、後は不織布と生地を留めているタッカーの針を外していくだけです。我が家にはステープルリムーバーもあるため楽勝!と安易に思っていたのですが、これが大変。

f:id:reikyonpp:20210905173956j:plainステープルリムーバー

 ま、不織布は比較的簡単に取れました。劣化したウレタンの粉が出てくるため、屋内では新聞紙の上でマスクして作業してます。天気のいい日は外のデッキの上で実施。(ばらした後でウレタンを見たら納得の状態でした・・・)

不織布を外してみるとこんな感じでした。

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  生地の端を留めているステープルの数!3重4重に大量に打ち込んでる!何か嫌な事でもあったのだろうかと思ってしまいます。おまけに業務用のコンプレッサーでのタッカーで留めたのかと思いますが、ボード材にステープルが埋まり込むほど強く打ち込まれていて、リムーバーの先がステープルの下に簡単に入らない!リムーバーの先をコネながら押し込んでいって何とか取ることができました。が、非常にきつい。(一部手伝った嫁が腱鞘炎になってしまった…)おまけに数が大量にあるため全然進まない。結局一つの座面のステープルを取るのに1日半ほどかかり、ようやく1つばらすことができました。

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1つの椅子から出てきたステープルの山。

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生地をめくると・・・うわ!何じゃこりゃ!

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 ウレタンがへたっているだけでなく、劣化してボロボロになっていました。

嫁もダイニングを掃除すると時々不思議な黄色い粉があると言っていたのですが、この粉が噴出していたのです。正体が判明しました。

 ボードを取り外すと、こんな感じでした。

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ウレタンを外したボードはこんな状態です。

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ステープルの跡はこんな状態。思いっきりボードにメリ込んでます。これではリムーバーが入っていかない訳です・・・

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 苦労してようやく1脚分のバラシができましたが、あと残りが5脚あります・・・

 1脚で相当憂鬱になりましたが、やりかけて辞める訳にもいかないので、頑張って取り組みました。ただ、ステープル外しは段々要領を得るようになってきて、途中でステープルリムーバーもついに一部破損してしまったこともあり(負荷がきついのと多量の処理で疲労破壊かな?)、リムーバーでなく千枚通しとラジオペンチを組合わせてうまく取る方法を見つけました。ステープルと生地の間の僅かな隙間に千枚通しの先を少し突っ込み、ラジオペンチの先端を千枚通しの下にあてがい、テコの要領でクイっと押してやるとステープルが少し浮き上がるため、そうしたら更に奥まで千枚通しを押し込んで同じ要領でまたテコで押し上げれば楽にステープルが取れました。なおテコの支点には何でも良いのですが、ステープルが折れてボードに残ってしまうことも多々あり、その時に折れ端をボードから引っこ抜くためにラジオペンチが要るため、これを支点に使うのが効率的でした。このやり方の方がステープルリムーバーを使うより手先の力も要らず、かなり楽に進めることができました。

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ただそれでもやはり1日に1脚をばらすのが体力的にも精神的にも限界でしたが、地道に進めて全部の生地ばらしを終えました(実際には生地の張り方を確認するために1脚だけは残していましたが)。

 

4.下準備

外したボードにはウレタンが残って貼り付いており、ステープルを抜いた跡でけば立っているため、ペーパーで軽く削ってやり、残ったウレタンの除去と表面を平らに均してあげます。

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   <処置前>            <処置後>

 

またこのダイニングチェアは装飾の彫りが施されているのですが、長年の使用で彫りの溝に埃が積もっており、時折掃除するのですがなかなか取り切れない状態でした。今回折角クッション部が取り外された状態になったため、思い切って全体を水洗いしてやることにしました。デッキに椅子を出し、中性洗剤を薄めて歯ブラシに付けて彫りの溝を一つ一つブラシで洗ってやり、汚れと埃を洗い流しました。

下の写真では違いは良く分からないですが、長年の埃が取れました!洗剤で水洗いしたため、後で蜜蝋を塗っておきます。

f:id:reikyonpp:20210829164018j:plain<洗浄前>

f:id:reikyonpp:20210829164037j:plain<洗浄後>


5.ウレタンの手配

 さてメインのウレタンを調達せねばなりません。ネットを見ると椅子のクッション交換用として山ほど品が出て来ますが、数があり過ぎて最初は訳が分かりませんでした。ただよく見ると同じ品が多数あったり、同じ種類で大きさ違い、数違いなどで分けられていますが、実は(幸い)それほど種類は無いことに気づきました。

 おまけに、我が家の椅子は座面がかなり大きいため、椅子から外したボードの大きさを測ってみると、台形の広い方の幅が62㎝、奥行きが45㎝あり、ウレタンのサイズはボードの1~2cm大き目にするとのことで、かなり大きなウレタンが必要であり、予めカットされたウレタンではどれも大きさが足りないことが分かりました。ということでオーダーメイドでウレタンを切ってくれるお店に頼むしかないということとなり、種類も豊富なスポンジ専門店の「ソフトプレン」というお店で調達することとしました。

スポンジ専門店「ソフトプレン」

 この店はスポンジ専門店というだけあり種類も豊富で、硬さや弾性の違いで12種類ものスポンジを取り扱っています。逆に種類が多すぎて何が良いのか分からないため、比較表を作ってみました。

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多くの椅子やソファでは硬いウレタンと柔らかいウレタンを組合わせて使っているようなので、それをまね、更に安価化するために3層構造にして中央部に安価なウレタンチップを選定しました。散々悩んだ結果、上記の表で品名に色を塗っている3種類を組合わせることとしました。
 ①上層:柔らかい高弾性ウレタンスポンジ ・・・厚さ3cm

 ②中層:少し硬めのウレタンチップスポンジ・・・厚さ3cm

 ③下層:硬めのウレタンスポンジ     ・・・厚さ2cm


 


 


 

  店では長方形にしかカットできず台形には自分で切らざるを得ないため、無駄を無くすためにも、以下のように台形を組合わせて必要サイズを選定して注文しました。(あまり長すぎると発送の梱包が大変かと思って3つ×2セットにしたのですが、届いた品は折り曲げられていたため、6個を1まとめでも良かった・・・)

なお全体を丸みを持って生地で包むために、②の中層は上下のウレタンより1廻り大きく配分しました。

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6.ウレタンのカット・貼り合わせ

 注文から数日してウレタンの大きな段ボールが届きました。

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ウレタンの分割図に沿ってウレタンに下絵を描き、カッターナイフで切っていきます。(ナイフでウレタンを切ると刃がすぐに傷むという人が居ましたが、私は特に気になりませんでした)

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なおリサイクル品であるウレタンチップは、「臭い」と我が家の女性陣から苦情が出たため、カット後しばら外で陰干し・風通しして匂い取りをしました・・・。リサイクル品は安価だから止む無しなのです。

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そうこうして6セットのウレタンのカットが完了しました。

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次はウレタンの貼り合わせです。

ボンドをウレタンの貼り合わせ両面に塗布してから貼り合わせていきます。

中層が1廻り大きいため、まず中層の上に下層を貼り、乾燥したらひっくり返して中層の上に上層を貼っていきます。

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これが乾燥したら下層の上にボードを貼り、完成です。

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なおボンドはクッション交換セットに使われている小西ボンドのG17を使ったのですが、雨天の日に貼り合わせを屋内で行ったため、その部屋と貼り合わせたウレタンはしばらくボンドの匂いが抜けませんでした。匂いの気になる人は屋外での貼り合わせとしばらく外で乾燥させることをお勧めします。

 

7.表生地の調達と貼り合わせ

表生地の選定は嫁が行いましたが、これも種類があり過ぎて訳が分からない様子でした。散々悩んで候補を絞り、サンプルを調達して、あまり華美になり過ぎないものをようやく選定しました。合わせて裏面の不織布も注文。

大きな巻物で配達されたが、それを今回のウレタンサイズに合わせてカットします。ウレタンの厚さはそれぞれ変わるため、注文したウレタンのサイズに合わせないと、元と同じ大きさでは足りない場合がありますのでご注意を。

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表布をウレタン&ボードに貼り合わせていきます。最初はウレタンの形に合わせて布を合わせ、ボードに固定したのですが、まっ平で角張ったウレタンの形そのものになってしまいました。ちょっと気に入らなかったため、取り付けたステープルを全て外して張り直すことにしました。1点をタッカーで留めた後、反対側の生地をウレタンを押さえながら引っ張っるとウレタンの角部が生地で張られて丸みを帯び、その状態でタッカーを打つと丸く固定することが出来ました。少しコツが要りましたが、引っ張りながら生地を留めていき、固定ができました。また角部の仕舞いもだいぶ苦戦しましたが、何とか平らに仕上げることが出来ました。

(下の写真は最後の留めをする前ですが)

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後は裏面に不織布を留めていけばほぼ完成。

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これを椅子に取り付け直して完成です。

長年の懸案事項がようやく片付き、フカフカの椅子が帰ってきました。

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全ての椅子にクッションを付けて、全体完成!

クッション交換を考え始めてから長い年月が経ちましたが、ようやく念願がかないました。

 

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最後に、今回クッション交換に掛かった費用は以下です。

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