れきょぱのDIY紀行

DIY記録を書いていきます。誰かの参考になると幸いです。

 

ペケ台でのDIY用作業台の作成~ねじれにより安定せず失敗~脚1組が原因?

1.我が家のDIYスペースの課題

これまで多くの物をDIYで作ってきましたが、特に作業テーブルのようなものは無く、庭のウッドデッキを使って加工・組立をしてきました。これはこれで、木材を鋸で切る時はデッキの板の隙間に鋸刃を入れると切りやすいのですが、カンナ掛けをしたり、部材を固定して作業したい時などはかなりやりづらく感じていました。

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1-1.ペケ台による作業台の作成着手

バイスのついたような作業台が憧れるのですが、作業台を常設するようなスペースは無く、仮設の物もそれなりに収納時の場所を取るため、作業台は長年諦めていました。

でもふと思い立ち、何かコンパクトに仮設で作れないかとネットを見たら、「ペケ台」というものを皆さん使っておられるのを知りました。

f:id:reikyonpp:20210424184558p:plain←これはペケ台の脚。この上に天板を乗せて使用。

不要な時は、ばらせば全て単板の状態になるため物置にもコンパクトに収納できます。パッと見で安定性は無いのかと思ったら、記事によるとそうでも無く、安定しているらしいです。長年の悲願、作業台を作ることにしました。

1-2.【結論】このペケ台では安定しませんでした。

 最初に結果を述べておきます。

「安定している」とのコメントがほとんどのため、着手時点はそう信じて作り始め、最善を凝らしたつもりですが、出来た物は全く安定しませんでした。

この記事は組み立てる前から書いていたため、最良の物を作ろうと考えて作った経緯をつらつらと書いています。結果失敗作に対して長すぎる記載ではありますが、「こう作っても安定しない」と思って参考にして頂ければ幸いです。

 

2.作業台の基本設計

2-1.基本構造

組立式の作業台は、自立した脚の「ウマ」をつかうものや、市販のアルミ製などの折り畳み式等ありますが、冒頭に書いた収納性を重視して、「ペケ台」で自製することにしました。

2-2.天板構成

 ネジなどの小物を置けるよう、2枚の板を貼り合わせて窪みを作ろうかと思っていたのですが、仕上げ厚を12㎜程にしようとすると単板はt5.5になりますが、あまり品ぞろえが無く単価も高い。おまけに板の反りがあると、貼り合わせる時の密着も気になり、シンプルに1枚のまったいらの天板にしました。

  

3.ペケ台の設計

3-1.天板の大きさ

作業性を考えると、合板の定型サイズである3×6(910㎜×1820㎜)をそのままで広く使いたいですが、この大きさではさすがに物置に入れるのも大変なので、ペケ脚は1脚として、1脚で使用するサイズで安定のありそうな最大寸法として、910×1100を天板サイズとしました。(これが失敗の入り口だった?)

3-2.木材板厚

ペケ台を構成する木材の板厚を検討します。

色々とネット記事を読んでいると、一部の方は天板は頑丈な板厚が必要として最低でも24㎜とされていたものがありましたが、ほとんどの製作者は一般的な合板厚でもある12㎜で作られていたので、私も12㎜の合板で製作することとしました。

 3-3.高さ

 作業台の高さとして、直立して掌を床と平行に曲げた時の高さを基準に検討しました。その高さは75㎝でした。ただし、屋外作業にて靴底の厚さを3㎝として補正し、天板高さを78cmとしました。

なお天板厚が1㎝のため、脚の高さは77cmとなります。

3-3.差し込み部スリット幅

ペケ台は2枚の板をスリットで組み合わせるため、そのスリット幅を決めます。

作成前に他の方のペケ台作成記事を読んでいた際、とある方の失敗事例として、(結果私も同じ轍を踏んでしまったのですが)「ペケ台を作ったが安定しなかった」との記事がありました。それを読み、スリットの幅が広すぎて余裕があり過ぎたのではないかと勝手に想定し、スリット幅はギリギリを志向することとしました。

脚の板厚は12㎜のため、抜き差しのしやすさと安定性を考え、スリット幅は板厚+1㎜の13㎜を設計値にしました。切断精度によっては板が入らないと思いますが、その時はやすりで削って調整します。大きめに切ってスカスカになってしまったら元には戻せませんので、面倒でも厳しめから攻めた方が良いため、このような設計としています。

3-4.脚幅・逃がし高さ

脚の接地面は地面側が平坦とは限らないため逃がしを作ります。

接地面の長さは150㎜、逃がし高さは100㎜としました。

多くの人の逃がしの形状は台形にされていますが、ジグソーを持っておらず手ノコで切る私には台形のカットは大変なため、単純に三角形で逃がし形状を作りました。これなら両側から真っ直ぐに切込みを入れるだけでカット完了です!

3-5.抜き孔

脚板の重量低減と持ち運び易さのために、抜き孔を入れます。

各辺から100㎜ずつ内側に長方形の抜き孔を加工。

これは手ノコでの切り出しが大変ですが、ドリルと鋸で頑張るしかないです。

3-6.設計図

以上より、今回の作成図は以下のように作りました。

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4.ペケ台の作成

4-1.材料手配

まずペケ台を構成する材料を検討します。ホームセンターで入手できる合板から材料を選びます。

脚は強度を優先して、針葉樹の構造用合板で検討。強度はあるようですが表面性状はザラザラ。表面の綺麗なコンパネにするか悩みましたが(価格は1.5倍)、脚板で塗装もするつもりなので、安価な針葉樹合板としました。

天板は、表面性状を重視。コンパネにするつもりでしたが、ランバーコアの厚手材がいくつかあったため、ランバーコアの15㎜としました。

 4-2.材料加工

私は電動ノコを持っておらず(過去に大けがしたため持たない)、手ノコで切らねばならないため、極力ホームセンターのカットサービスを使いました。いくら手ノコを頑張っても素人に長距離の直線切りは限界があります。使えるサービスは素直に使いましょう。

ただホームセンターでは直線の切り落とししかできず、途中までの切込みはできなかったため、スリット切りや抜き孔、逃がしは手ノコで切りました。

 スリット加工は幅が1㎜精度が必要なため、鋸刃厚と削れ代を見てスリット両側のラインを慎重に手ノコで切っていきます。削り屑でラインが見えなくなりますが、こまめに吹き飛ばし、見えない時は安全サイドに内側へ偏らせる気持ちで切っていきます。一番奥の部分はスリット幅に近いΦ12のドリルで穴を開けて、スリットを落とします。しかし案の定真っ直ぐには切れておらず、2枚の足を入れてみましたが最初は入らず、ヤスリで削りながらギリギリで入るように調整してスリットも完成しました。

 

4-4.仮組立て

抜き孔加工や塗装に入る前に仮組立てをしてみました。

2枚の脚板を組み合わせると、スリット部はギリギリに作ったため、緩すぎることも無く、丁度いい嵌め合いでズズーっと入っていきました。

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ところが・・・・

 組み上げた脚を立てると、普通に立てている分には問題無く安定していますが、揺するとかなりグラグラと揺れる。え?こんなはずでは・・・

一縷の願いで、天板を載せてもう一度試してみる。

(載せるだけの天板で安定性が上がるはずもないのですが。)

天板のガタ付きは無い。が、天板を持って回転させるように揺すると、やはりグラグラと大きく揺れてしまいました。(ぐらつきの状態を動画でアップするために動画撮影したのですが、私のブログでは動画が直接アップできないようでした・・・)

物を置くだけなら十分使えますが、この上で材料をクランプして加工をするような作業には到底使えないレベルです。

どうしてこうなってしまったのか・・・?

 

5.不安定の原因検討

起きている事象のイメージは以下のような感じです。

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 <上から見たイメージ>  <横から見たイメージ:左図の色の場所を符号>

原因は明確に分かってはいませんが、以下のように考えています。 

 ①板の嵌め合いが緩かった?

スリットの加工は予めかなり注意して狭めに加工しており、設計寸法で両側1㎜の隙間に対して実際はもっと小さいはずで、組み合わせた状態で厚さ0.5㎜の鋼尺もほとんど入らない隙間でした。従ってこれが原因とは考えていません。

これ以上嵌め合いを狭くしても、出し入れが困難になるだけで、若干改善はしても根本的に解決はしないと思われます。

②脚板の剛性が足りなかったのか?

今回12㎜の板厚を使いました。皆さんが普通に使われているとされていたものですが、板の剛性不足も原因の一つに思います。

ただ主たる要因は③及び④かなと思っています。

2枚の脚板の直角は保たれたまま、板が倒れるように全体がねじれています。

 ③スリットの開き

天板を外して回転させるように揺すってみると、スリット部が開くように大きく動いていました。

これも動画が載せられず残念ですが、以下のイメージは分かるでしょうか?

下部のスリットも同じような挙動をしています。

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そこで、スリットの交差部端をクランプして同様に揺すってみると、揺れは大幅に改善しました。従って、交差部のスリットを入れていない方の板にガイドとなるブロックでも取り付け置けばスリットが広がらずに揺れが抑えられると思います。

ただ、残念ながらこれでもまだかなり大きく揺れますので、これだけではまだ使えるレベルにはなりません。

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④1脚のペケ台の限界?

今のペケ台でも水平・真横方向の剛性はそれなりにあるため、2組のペケ台を使って大きな3-6の天板を載せるような使い方なら、ペケ台の回転を2組の脚と天板で抑えてくれるため、問題無く安定するかと思います。ただ、1組のペケ台では回転方向のねじれが抑えられず大きく揺れることになると思います。

1組の脚でペケ台を作られた事例は多く見ますが、加工などの作業をする台として皆さん普通に使えているのかとても気になります。

脚板をばらして1枚の板にして、捻じる方向に揺すってみると、ベコンベコンとかなり大きく揺れます。③のスリットの影響があるため、スリット部を端板で固定して同様に揺すってみてもかなり揺れます。板の剛性を上げてみるために、2枚の脚板を重ねてクランプして揺らしてみると、揺れの量は半分ほどには収まりました。でもそれなりの揺れは残ります。

従って、脚板をt24㎜相当程度の厚手材で作り、スリット部を開かないようにコマを付けてやれば、揺れはかなり改善はすると思いました。

 

ただ、板厚を2倍にすればそれだけ重くなり、収納スペースも取ります。更にそこまでしても完全に安定できるとは思えませんでした。やはりペケ台1台での限界があると思います。ただの置台なら良いですが、力を入れて作業をする「作業台」としてはペケ脚1組では無理ではないかと思いました。

そのため、私はペケ台での作業台は諦めることとしました。

通常の4本脚での取外し・取付構造で再トライします。これは出来上がったら別の記事で紹介します。