れきょぱのDIY紀行

DIY記録を書いていきます。誰かの参考になると幸いです。

 

DIY用作業台のリベンジ~ペケ台の失敗から組立式4本脚作業台への変更~

1.ペケ台作業台の失敗とリベンジ

 DIY用作業台が欲しくなり、ネットに多く上がっている「ペケ台」での作業台作成をトライしたのですが、まったく安定せず使い物になりませんでした。

 ペケ台での状況は以下の記事をご一読下さい。
 作り始めた作業台を何とか使えるようにしたいので、ペケ台で改良して安定させるかだいぶ悩んだのですが、ペケ台で確実に安定させられる自信が無く、そのためにはペケ台の売りである収納性や組立性も犠牲にせねばならないため、ペケ台での改善は諦めて通常の4本脚の構造の作業台にすることとしました。

 

2.新構造での設計

2-1.基本設計

  今回通常の4本脚構造にはしますが、常設する場所は無いため、「組立式」であることには変わりはありません。ペケ台用に準備していた天板を使い、そこに4本の脚を取外せる構造で取り付けることとします。組立式ではあっても①安定性は最優先し、更に②組立性③収納性を追求した作りを目指します。(今この文章を書いている時点ではまだ作っていません。結論がどうなるか、安定しない可能性もあり、心配…)

 取外し式の部分は最も不安定性の元になるため、強固に固定すべく通しボルトとします。建て込みのボルトや木ネジでは何度も取外しをしていると強く締めることが出来なくなるため、グラつきの元になります。

 なおボルトの締め付けは、天板の上から固定出来るほうがその作業性は良いのですが、自立させた4本の脚の上に天板を乗せて固定するのは困難と思うため、天板を裏返して脚を立てて固定することとしました。

取付けの構造は3つの方案を考えました。

・案1:脚の天部に台座の板を取付け、その台座と天板をボルトで固定する。

・案2:脚の天部にL型金具を取付け、その金具と天板をボルトで固定する。

・案3:天板の裏にL型金具を取付け、その金具と脚をボルトで固定する。

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 案1と案2は同義であり、木製台座を介して固定するか金具で固定するかの違いでしかないですが、案1は台座を挟む分だけボルト長が長くなり締め付けが弱くなるため、案1は不採用としました。案2と案3は完成した形は同じですが、案3の方が回転支点である脚先端から作用点までの距離が短く、締結ネジに発生する力が案2より大きくなるため不採用とし、案2で作成することとしました。

【参考】案2と案3でボルトに発生する力の違い

テーブルの天板を揺らす力は地面反力により脚の接地面を押している事と同義になりますが、脚の下端にFの力で押された時、脚の長さHに対する脚の根元に生じるモーメントMはM=FH。そのMによりボルトに生ずる力は、案2の場合、脚と金具が一体のため、金具端を支点とした作用点のボルトに生ずるモーメント力はF2=M/B2。同様に案3の場合、回転支点は脚上端となり作用点のボルトの力も同じくF3=M/B3ですが、案2でのB2は凡そ165㎜に対して、案3ではB3≒45㎜。従ってF2=0.003Mに対してF3=0.022Mであり、F3はF2の3.67倍となるため、案2の方が案3より4倍近く安定性があると考えます。

2-2.詳細設計

  脚の素材は、安価に木材とします。屋内テーブル用に綺麗に仕上げされた脚もDIY向けに売られていますが、屋外の作業用であり後で塗装を考えているため安価な建築用の角材としました。太さは安定性のためには当然太い方が良く、□75や□90も考えていましたが、組立のための重量や収納性も勘案し、高さ700程度であれば□60でも十分安定できるかと考え、□60としました。

  脚の固定はL型の金具を使います。ホームセンターには色々な仕様の固定金具があり、L金具も大きければ大きいほど安定性は増すのですが、上記基本構造の案2を採用し収納時はこの金具が脚に付いた状態となるため、あまり大き過ぎると収納の邪魔になってしまうため、安定性と収納性のバランスに悩みましたが、板厚2㎜の75*75のL金具を4面に取り付けて固定することとしました。

 なお2-1の案比較図では固定のボルトを天板の上に付ける絵になっていましたが、天板はフラットにしたいため、ザグリ穴を掘りそこへナットを埋め込みます。締め付け力により天板が傷まないようワッシャーを入れておきます。

以下図面で製作に掛かります。(下図は天板を裏から見た図)

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脚の取付け部の詳細断面図は以下です。

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3.製作

3-1.材料調達

 天板はペケ台作成時に準備した物を流用しますが、t15㎜厚のラワンランバーコアを使います。

 脚はホームセンターを3件はしごして探しましたが、杉材の上仕上げがあったのでそれを購入しました。□60㎜の4m材で1000円でゲットできました!建材は時々歪みがあるものもあるので、曲がりが無いか良く見て選定しましょう。さすがに長さ4mは車に乗らないため、カットサービスで750㎜にカットして持ち帰りました。合わせて、L金具とボルト、ナット、ワッシャーを16組ずつ手配しました。L金具は2㎜厚の75㎜×75㎜のものとしました。ボルトはM6かM5を考えていたのですが、金具の穴がΦ5だったためM5としました。近くのホームセンターは小さなボルトやナットも1個単位で売っているため便利です。

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 ナットは天板に埋め殺すため錆びても交換できないのでステンレスとし、それに合わせてボルトやワッシャーもSUSとします。ボルトは普通鋼のユニクロでも良いのですが、ステンレスと普通鋼を組み合わせて使うと異種金属間での電位差により腐食が進みますので、材質は揃えておきます。(常設ではないのでそこまで気にしなくても良いかもしれませんが)

 なおナットとワッシャーは天板へ埋め殺して固定するため、予め接着剤で両者を固定しておきます。ナットとワッシャーの芯がずれているとボルトがうまく入らないため、ピンセットを使って慎重にセットし、接着剤が固まったら、ボルトを差して問題無いことを確認、ずれている場合はやり直しておきます。

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3-2.加工・塗装

  脚は端面を機械でカットしていますが、持ち帰った後で長さが揃っているか、端面が曲がってカットされていないか確認、必要に応じて修正します。脚は建材で表面処理はされていないため、角面はカンナで面取りした後、全体をペーパーで研磨(#80→ #400)しておきます。

 下地処理が完了したら塗装を行いましたが、これは好みです。屋外で使う作業台なので素地そのままでも問題無いです。

 天板に締結の孔加工をしますが、脚によって金具の取付位置や角度が微妙にずれている可能性があるため、脚と金具に番号を打ち、天板側にも記載し、取り付ける場所と方向を決めておいた方が穴のずれる心配が無いです。脚の塗装は黒、記号は白で銘記しようとしましたが、黒地の脚に後から白で文字を書くのは色出しが大変なので、黒塗装をする前に白で文字を粗く塗っておき、マスキングテープを貼って文字でレタリングしてから黒塗装をし、テープを剥いで記号を表示させました。

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 その後L金具を取り付けますが、径4.0のタッピングを使うため、径3.0の下穴を開けてから、金具をネジ留めしていきます。金具の取付が終わったら、脚の垂直を確認します。「念のため」の垂直確認のつもりだったのですが、L金具の直角が全然出ておらずガタガタでした。L金具は全てが88~89度位になっていましたが、わざとその角度を狙って作られているのでしょうか。金具の角度を1個1個矯正し、グラつきなく垂直に立つように調整します。これで脚は完成です。

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 脚の金具の調整が完了したら、天板裏の取付位置へ仮置きし、金具の取付穴の位置を天板へ転記します。天板側へも脚と符合した記号と向きを記載しておきます。後で天板にも記号と金具の位置を描きますので、金具も転記しておきます。

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 金具には取付穴が3つ加工されていますが、取付け性を考えてボルトは1本だけで留めようと考えています。1本だけの場合どの位置が良いのか判断付かなかったため、端板にそれぞれ穴を開け、順にボルトで留めて安定性を比べてみました。内側はやはり踏ん張りがきかず、外側だけだと中央部が少し浮くような挙動をしたため、中央の孔で留めることとしました。

 罫書いた穴の位置に、天板裏面からマーキングのためのΦ2の通し孔を開けます。表面からはナット・ワッシャーを埋めるΦ13のザグリ穴を掘ります。ザグリ深さは8㎜を設計値としていますが、端板で事前に試し掘りしておきます。合板は中間層のドリルの食い込みが良く、ドリルが入っていくのを止められずにt12の板を何回か貫通させてしまいました。何度か練習して、食い込み始めたらすぐにトリガーを切って同時にドリルを引き上げるくらいで食い込みを止められることが分かり、天板での本番加工に着手しました。上記の手法で始めに3~5㎜程削り、後は少しずつ削り進めていきました。3か所ほどはやはり削り過ぎてしまいましたが、残りの肉厚は何とか確保できていたのでそのまま使用。ザグリ穴はワッシャー&ナットが乗るため、ザグリの面が水平かつ平滑になるよう確認と調整を行っておきます。 ザグリができたら、そのセンターマークに合わせてボルトのためのΦ5.5の通し穴を裏面まで開けます。

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 ザグリ穴ができたら、その上にワッシャー&ナットを固定します。ワッシャーに接着剤を付け、ザグリ穴へ取り付けています。ナットのネジ面に接着剤を付けないよう、特に注意します。ワッシャーの接地面に接着剤を付けたくなりますが、ネジ部に接着剤が広がらないよう、ワッシャーの外周部に接着剤を乗せるような感じの方が良いと思います。また更に、脚の金具の取付穴とナットの穴の芯がずれないように注意して調整します。接着剤は後で補充しますので、ここでは軽く固定するつもりで良いです。

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  接着固定したワッシャー&ナットに脚の金具を取付け、問題無くネジが締まるか確認します。(ネジ面にボンドを付けないよう慎重にやり過ぎて、しっかりついていないナットがいくつかあり、付け直しました・・・)

 問題無ければ、ザグリ穴とナットの隙間に接着剤を更に注入し、完全に固定させますが、ここでもネジ部にボンドが付かないよう、ナット上面にマスキングをしておきます。ボンドをたっぷりと注入するため、このマスキングでだいぶ助かりました。

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 【ナットマスキング】    【ボンド再注入】    【ナット固定完了】

 

 天板の塗装を行います。脚の取付け部には記号を明示しますので、文字部を白塗装してマスキングしカッティング、金具の縁に合わせて更にマスキングし、金具部の塗装を行います。塗装が乾燥したらマスキングを剥いで取付け部の塗装は完成です。

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4.完成・安定性の考察

  ここまで来たらほぼ完成していますが、改めて天板に脚をセットし、ネジを締めて完成です。6角穴付きボルトなのである程度までは指で締めることができ、最後はレンチで締め上げます。ナットの周囲に接着剤を注入してしっかり固定させたため、裏面からのボルトの締結がかなりしやすくなりました。

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裏返して完成。

色合いもなかなか良かったかと思います。

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ナットとボルトも天板面から完全に沈んでいるので、邪魔にもならず問題ありません。

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 さて安定性ですが・・・

 ペケ台のような大きく回転するような揺れは無くなりましたが、全く揺れないというわけではありませんでした。振幅は3~5mm程でした。ペケ台は100mm以上は裕に揺れていたので大きな改善です。

 揺れの原因は、1つはL金具の剛性不足かと思いました。厚さ2㎜の鉄板ですが、1m弱の長さの脚を使うと簡単に曲げられます。対策としては、金具を厚手の物に変更するか、2-1項で比較検討した案1も組み合わせて台座を加えて剛性Upすると改善しそうなので、必要性を確認して後日対応を検討します。また脚高さ750㎜に対して脚のサイズ□60はやはり細かったかもしれません。足を太くするか、台の高さをもう少し下げた方が良かったかと思います。

 また全体の剛性も高くは無いので、天板に材料をクランプしてカンナを掛けるような作業はやはり無理です。こういった力を入れるような作業を行うには、据え置き型で各部の板厚や太さを上げ、更に補強フレームも入れ、全体剛性を上げないと無理なのではないかと感じました。

  ということで、がっちり安定して満点!という訳にはいきませんでしたが、全く使い物にならなかったペケ台からは大きな進歩で安定して使えるようになりました。