れきょぱのDIY紀行

DIY記録を書いていきます。誰かの参考になると幸いです。

 

DIYでの隣とのフェンス作成(第2弾:取付け強度最大化)

1.お隣さんとの境

 我が家のお隣との間には腰高さのアルミフェンスがありますが、筒抜けの状態であったため、築10年、ついに目隠しのフェンスを作ることにしました。

(お隣側はぼかしてます)

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2.基本設計

2-1.設置場所

 通常ならフェンスは地面上に設置するものではありますが、ウッドデッキがあるため地上設置とデッキ上に設置することと比較して検討しました。

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それぞれ長所・短所ありますが、総合的に考えて、デッキ上に設置することとしました。

2-2.フェンス高さ

 デッキ上に設置することとしましたが、デッキの床面高さ(DL)が地面(GL)から650㎜の高さにあります(DL=GL+650)。従って、フェンスの高さをH1200mmとしてもGL+1850あるため、庭の地面からの目隠しとしては十分機能しますが、デッキ上からは胸から上が露呈することになるため、フェンスをH1500、すなわちGL+2150を基準に考えることとしました。

 なお後のポストの選定にて、市販ポストの長さは1200か2100となっていたため、2100を購入しました。従ってH1500に限定する必要は無く、身長173cmの私の目の高さのH1600にカットして使用することとしました。

2-3.ドアの有無

  デッキの今回フェンスを設置する場所には地面との階段が付いています。そのため階段への通行のためにフェンスを一部ドアにするか悩みましたが、ドアは(鍵ではなく)ロックをすることになるため、昇降をしてロック開閉してドアを開閉する手間を考えたらデッキ周囲を迂回すれば問題無しと考え、余計なドアは付けないこととしました。

 2-4.耐風強度の配慮

 我が家は九州の住宅地の中の一角なのですが、台風の時は言うまでも無く、秋や冬なども非常に強い風が良く吹き抜けていきます。なおフェンスを設置する側のお隣さんとは色々あり、万が一でもフェンスが倒れていくというようなことが無いように最大限の配慮をします。今回は”異常”な程の強度面の配慮をしていますが、特に留意する必要の無い人は読み飛ばして下さい。(前回反対隣とのフェンスは普通に設置してます)

 耐風強度は3-4項に、具体設計は3-6項に記載しています。

 

3.フェンス設計

3-1.ポスト仕様

フェンスの材料は、前回反対隣とのフェンス施工に用いた「エコウッド」が加工性や耐久性など良かったため、同じ材料を使う予定でした。(前回のフェンス施工については以下記事を参照ください)

 ただ今回は数量も少なく通板で送料も結構掛かるため、近くのホームセンターをいくつか廻ると、アルミ製のポストがエコウッドと同じ程度の単価(送料除きで)売られているのを見つけました。大きさもエコウッドと同じ□60mm。 耐風強度確保の為エコウッドの場合は芯材も必須と考えていたのですが、強度十分なアルミポストで同価格(送料加味するとはるかに安価)のため、アルミポストを採用することとしました。

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(3239円/本×3本=9717円)

なお同じアルミポストがネットにもありましたので参考までに掲載しておきます。

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

分割型 アルミポスト2100 全3色(ブラウン/ホワイト/シルバー)
価格:4980円(税込、送料無料) (2021/5/16時点)

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 3-2.幅板とその配置

 ポストに取り付ける幅板も最初は通販でのエコウッドを検討していましたが、こちらも送料あり。アルミポストを扱っていたホームセンターにエコウッドとほぼ同じ人工木の薄板(t8×B100×L1800)があり、当然こちらは送料不要なため、こちらで調達することにしました。

 今回フェンスを設置したい場所の幅は最大で2100㎜あるため、2m材の板を取り付けたかったのですが、上記以外も2m材は無くどれも1800㎜でした。そのため板を継ぎ足して2100幅のフェンスにするか迷ったのですが、その場合ポストが4本となりピッチも不自然に狭くなり、一方幅1800でも目隠しには十分機能するため、まずは幅1800でフェンスを作ることとしました。隙間は、隣のウッドフェンスの劣化が目立ってきているため、作り直すとき延長して埋める計画としました。

 なお今回のフェンスの主目的は目隠しのため、幅板の間隔は狭めの15mmとしました。ポスト高さが1600ありますが、取付金具(後述)の高さが115mmあるため正味フェンス部は1485㎜となり、幅板ピッチ100+15mmでつけていくと、必要な幅板の枚数は13枚でした。

 後記修正)幅板間隔は15㎜でも意外に広く、後から6mmへ修正しました。

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3-3.固定金具

 前回使用した取付金具は作りが若干粗雑だったため、こちらもホームセンターを模索し、先のアルミポストとセットで売られている取付け用のベース金具があったため、こちらを採用しました。(1100円/個×3個=3300円)

(でも結局これも製作精度は決して良くは無く、どちらも同等だったかな)

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コンクリへの取付のためにオールアンカーも付属していましたが、これは不使用。

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ただ裾長さが小さく踏ん張りが十分でないため、補強材追加を検討します。(後述)

3-4.強風への耐力検証

2-4項で記載したように強風時にも耐えられるように設計に配慮します。そのため風から受ける力を計算しておきます。

 ☆計算に興味無い人は次へ飛ばして下さい~。

風速V[m/sec]の時の風圧Pvは

  Pv[Pa]=(1/2)*ρ*V^2

V=20[m/sec]の時、空気密度ρ=1.293[kg/m3]にて、Pv=259[Pa]=26.4[kgf/m2]

受風面積は幅板の総面積とし、幅100mm×長さ1.8m×13枚にてA=2.34㎡ のため、

  全受風力は F=Pv*A=61.72kgf

大人一人分の体重です・・・。結構強い力が掛かります。

この力を3本のポストで受けるため、1本当たりの力Foは Fo=20.57kgf

この力を高さ1.6mのポストで均等に受けるとすると、単位長さ当たりの力foは

  fo=Fo/H=12.86[kgf/m]

この等分布荷重foによりポストの根元に掛かるモーメントMは、

  M=fo*H^2/2=26.3[kgf・m]

 となります。

このモーメントMによる力を後で検証していきます。

3-5.幅板のルーバー状斜め取付けの検討

 幅板の間隔を詰めて設置することで風の抜けが悪くなり、風の力をまともにうけてしまうため、ルーバーのように板を斜めに取り付けることを検討しました。(しかし、結局中止しましたが・・・)

 勾配比1/3程のウェッジ(くさび)状の部材を探しましたが、市販で適切な物が無かったため木材で削り出して作ることとしました。1×4(19×89)の部材を幅半分に切って2枚重ね合わせ、斜めにカットしてウェッジを製作します。鋸での切削代を2㎜、カンナによる削り代を両側で1㎜、計3㎜落とし代と考え、勾配を0.3で計画。長辺Xとすると短辺はY=35-X。高さ差⊿=X-Y=2X-35、⊿/H=0.3よりH=75とすると、X=29、Y=6となり、この寸法で加工。

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 大量に部材をカットし、ウェッジを1つ試し粗製作までした後で、取付方法をもう一度考えてみました。ライナー材を挟んでポストに幅板をネジで締結するため、それぞれに下穴を開けておき、その3つの孔にネジを通さねばなりません。そこまでは事前に考えて大変さは認識していたのですが、今回ネジはポストに垂直でなく、ウェッジに合わせて斜めに下穴を開け、その延長線上のアルミポストへ下穴を開けてそれらにネジを通さねばならないことに気が付きました。大量に部材を加工した後に・・・。

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  ウェッジは素人が全て手作業で作るため、それぞれの大きさや角度を完全に合わせることはできません。ウェッジは全部で39個ありますが、ウェッジに対する幅板の取付位置も微妙にずれが想定されます。ポスト3本で板の3か所を留めるため2か所を決めると3点目に自由度はありません。3つの部材の斜めの下穴は合わない場所が多数発生すると想定されますが、今回はポストがアルミなので、既に立てているアルミポストに穴を開けなおすのはあまりに大変です。

 ということで、せっかく苦労して作り始めたウェッジですが、あまりの課題の多さに取付けは断念し、普通にポストへ直接幅板を取付けることとしました(涙)。

 設計をしながら物を作るとこういうこともあります・・・。手戻りがNGな場合はしっかりと事前に計画・設計を!

3-6.取付金具の補強

3-6-1.基本方案の検討

  ポストをデッキに取り付ける金具は市販のベース金具を使用しますが、デッキ面への取付座が狭く、風力に対する踏ん張りが十分でありません。

 ポストの根元から取付け部までの距離はB=21mmのため、3-4項で計算したモーメントMに対して締結のボルトに生じる引き抜き力は F1=M/B=1254kgf も掛ります。M10程度のボルトを使えば破断するまでは無いですが、この力ではガタ付き等の元になるため、力の軽減を図り安定度を上げます。

 フェンス面の長手方向には、幅板で拘束された3本のポストで受けるため強度は心配ありません。しかしフェンス面に垂直な方向には風力をまともに受けて倒されやすいため、その方向への補強を考えます。ベース金具にL型の金具などを組み合わせ、以下の3つの方案で補強することを比較検討しました。元のベース金具の取付座を活用する①②案と、全く別の金物で支持する③案となりましたが、思い切って③案を選択することとしました。(結果的にベース金具は無くても良かったかも・・・)

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 ただしこの案③もベース及びポストとの一体化が課題であり、更に風の方向によっては強度が弱いため、対策が必要です。

 下左の側面図でポストを左に倒す方向のモーメントMaと右に倒す方向のMbを考えます。Ma方向には背面側のフラットバーに引っ張り力が生じ、このバーを固定するボルトやネジの剪断力で保持するため、強度は十分あると考えられます。ただしMb方向の曲げに対しては、どちらの金具にも純曲げが掛かり、平板の曲げ剛性で耐えるしか無いため強度が厳しいです。そのため、L型金具をステー付のものにするか、直金具をフラットバーでなくリブ付きのものなど高剛性のものを検討します。

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 3-6-2.補強金具の選定

  まずL型金具ですが、ホームセンターには板厚5mm程の厚手のものなど色々な仕様の金具がありましたが、最も剛性効率の良いステー付の三角形のブラケットを選定しました。ただステーが足元の邪魔になることも懸念し、最も壁際には大型の250mm× 250mmのものを、それ以外の2か所には一回り小さな200mm×200mmのものを選定しました。板厚はt3.2が使われていましたが、元々三角形の平板を曲げて溶接して作られているため剛性は申し分ありません。その代わり製作誤差で直角度が崩れていると矯正のしようが無いため心配でしたが、持ち帰って調べてみると直角度も全く問題ありませんでした。

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 次にフラットバーですが、こちらは幅40で両端を折り曲げたチャネルを見つけたため採用。板厚は2.0mmですが、C型断面形状にて曲げ剛性は大幅に向上。曲げ剛性を示す断面係数Zは、板厚2㎜・板幅40mmのただの平板ではZ=27㎜3ですが、同じ板厚・幅で両端を曲げた事でZ=782mm3となり、30倍近く高い剛性が得られます。

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3-6-3・補強金具の固定方法

 これらの補強金具をベース金具とポストへ固定しますが、この固定が不十分では剛性を上げても元も子も無いため、通しボルトとタッピングでこれでもかと留めまくります。要所は通しボルトでしっかりと留め、ダブルナットで緩み防止を施します。ただ、ブラケットやチャネルの開口部は大きく、強い曲げが掛かった際にポストとの間がずれる懸念があります。そのためタッピングも併用し、特にブラケット側にタッピング用の穴を開け、ずれずに確実に留めるように配慮しました。通しボルトは三角ブラケットとベース金物とフラットチャネルの3種類の取付穴のあった位置にせねばならず、その調整に苦戦し、更に今回三角ブラケットを大小2種類用意してしまったため、この調整に2倍苦労することになってしまいましたが、何とか解を見つけることができました。

 ポスト固定部は以下のように固定することとしました。200角のブラケットB,C用にも微妙に寸法違いの別図面を作図していますが、250角のブラケットAの以下の図とほぼ同様のため掲載は割愛します。

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3-7.ボルト・タッピング仕様

 通しボルトはM8のSUSボルトを使用。両側にワッシャーを使い、緩み止めにダブルナットで締結しました。

 ポスト固定部に使用するボルト[Bolt-A]の長さは、ベース幅65+ブラケット厚2+ナット厚6*2 +ワッシャー厚1*2+余裕代=90mmとし、同様に他の部位のボルト長さも算定しています。

 タッピングは原則径6.0mmのものを使用しました。ボルト同様に各部の固定に必要な長さを算定し調達しました。

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3-8.隙間ライナー

 ポスト外寸60㎜に対して、ポストの入り込むベースの内寸は62.0~62.7mmあるため、両側で2.0~2.7mmの隙間があります。また、ベース金物の上端からブラケットやチャネルの上部までは片側2.5㎜の隙間がありますが、全体を通しボルトで固定するため、締結力を上げるため隙間をライナーで埋めるようにします。多くの種類の樹脂プレートが売られていますが、必要なライナー厚は1.0mm前後と薄く強度が必要であり、ある店でアルミの薄板を見つけたためアルミ板をシムライナーとして使用することとしました。最初板厚1.0mmと1.5mmのものを調達しましたが、後から0.5mm厚を追加手配。

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3-9.幅板の取付け面

 幅板は通常ポストの外面に取付け、外からはスッキリと見せる物ですが、今回耐風の安全性を比較確認しました。

 ポストの外側に板を取りつける場合、タッピングも当然外側から取り付けることになります。タッピングのネジとポストのかみ合いが弱まった時に、内側から外側(隣家向き)に強風が吹くと、風力で幅板が隣家へ飛んでいくリスクがあります。

 一方ポストの内側に幅板を取りつけると、隣家に向く強風が吹き、タッピングが弱まっていても、幅板はポストで抑えられているため隣に飛ぶリスクはありません。逆方向の外側(隣家側)からの強風には強くはありませんが、吹き飛ばされても自分の家の庭に落ちるだけです。

 そのため今回は普通と反対ですが、ポストの内側に幅板を取りつける事としました。

 ただし、ポスト下部の取付け部は三角ブラケットを使っており、そこに内側から幅板を取りつける事は出来ないため、ブラケットと干渉する部分だけは外側から幅板を取りつけることとしました(低位置のため万が一脱落しても飛散リスクは低)。


3-10.設計図

  これまでの計画を基にした全体の計画図は以下のようになりました。

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また、3-6-3に示した固定方法に合わせ、三角ブラケットやCチャネル、ベース金物にタッピング用の穴を開けるため、これを図面化しています。ただし、一番外側となるブラケットとCチャネルの孔位置を基準にして、内側のベース金具やライナー、ポストの孔は組み立てて通し孔で孔位置を映して加工します。(以下図の赤線〇が追加孔)

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4.フェンスの製作・施工

4-1.ポストの加工

 購入したアルミポストは長さ2100㎜ですが、フェンス高さは1600mmのため、長さをカットします。私は手ノコしか使わないため、ハンドソーにアルミ・SUS用の鋸刃を取り付けて所定長さにカットします。

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 カットは木材よりは大変ですが、1本3分程で切れました。キャップがネジで留まっているため、ネジ穴を開けなおしてキャップを取付けて完了。

4-2.ベース金物

 ベース金物の裾部の製作精度が悪く面が出ていません。僅か50mm弱の裾部の先端が2㎜程浮いている状態でした。恐らく製作時の溶接の入熱で歪んだのでしょう。このままでは取り付けてもグラグラなので、プライヤーで矯正して平坦にしました。

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 またブラケットとベースが接する面の精度も悪く、両者を突き合わせると下面の角で接して上端では2㎜ほども隙間が空いている状態でした。そのため、ベース下の角部とブラケット下端をグラインダーで削り、両者を密着させるように加工しています。同様にCチャネル側の接する面もグラインダーで均して面出しをしました。

左下の写真は一度修正加工した後ですがまだ隙間あり。右下は矯正後です。(矯正前写真を撮影し忘れました…)

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4-3.補強金物の加工

4-3-1.フラットバー(Cチャネル)

  フラットバーで必要なものは300mm長さの物を3本でしたが、900mm長さのCチャネルを購入したため、3分割して使用します。これまた少々大変でしたが、金鋸で手で切断しました。

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 元々加工されている孔を利用して大半のボルトやタッピングを取り付けますが、一部タッピング用の孔を開けます。ただしまず穴位置を写すためにΦ2.0mmの穴を開け、ベースやライナーに穴中心位置を写した後、本来のΦ7の穴を開けます。ユニクロのメッキがされていますが、銀色が目立つためと加工部は素地が出ているため黒で塗装、更に目印のためにデッキレベル面に白色罫書をしています。

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4-3-2.三角ブラケット

  三角ブラケットは200角と250角のものを調達、先述のようにベース金物との密着度を上げるために角部をグラインダー加工し、Cチャネルと同様にタッピング用の孔をΦ2→Φ7で順次開け、塗装を施します。

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手順的には先の4-6-1まで行った後の状態ですが、最終孔加工をした補強金具です。

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4-4・ライナー加工

 手配した板厚1.0mmと1.5mmのアルミ板を所定の寸法にカットします。

 t1.0の板は50mm×200mmにカットするのですが、幅の狭い手鋸で切るのに大変苦労しました。80mmほど鋸を進めると支持弓にぶつかって進めなくなります。反対側から進めていきますが、中央40mmほどが残ってしまいました。悩んだ末、ポーチの石張りをした際に購入した(が使えなかった)タイルカッターを思い出し、ガラスカッターのような超鋼エッジ部で切断線両面に疵を入れ、何度か折り曲げるときれいに切ることができました。(下写真黄色の柄のものがタイルカッター)

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 また切り出し後に角部を面取していたのですが、鋸での切り出し時にやすりで両角部へ面取をしてから鋸で切断をすると、鋸刃の引っ掛かりが無くなり、非常にスムーズに切ることができるようになりました。

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 こうしてかなり苦労しましたが、アルミ板のライナーの切り出しを完成しました。

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このライナーにはタッピングや通しボルトの孔を開けますが、設計値では孔位置がずれる可能性があるため、後で仮組みして穴位置を写して本穴加工を行います。

4-5.ライナー調整

 ベース金物は製作精度が悪く、それぞれで1㎜以下の寸法精度はまちまちでした。そのためAには1.0mmのライナーが入っても、Bには同じライナーが入らないというようなケースが多々ありました。そのため、後から厚み0.5mmのアルミ板を追加調達して細かい隙間調整を行いました。

 また、ベース金物にポストとライナーを入れて正立させ、垂直度を確認、垂直に立つようにベース下のライナーを調整しました。

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 多種類のライナーができたため、ベースやポスト、補強金具にA,B, Cのナンバリングをし、それぞれの組み合わせに最適なライナーを設定していき、ライナーにもナンバリングを行ってどのポストのどこにどのライナーをつけるのか取付箇所を記録しました。

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  組合せを決定したライナーは、ボルト等の孔位置が取付時にずれることの無いよう、先にポストへ固定し、通しで穴をあけるため、ポストにライナーを接着していきます。ライナーの固定は、本来ずれ止め程度で十分なのですが、通しで穴を開けるため、穴あけ時にビビリなどが出ないようにしっかりと留めました。

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4-6.下穴加工

4-6-1.ベース周り下穴開け

   ライナーを取付けたポストをベース金物へ装入し、ブラケット等の補強金物をベース金物に仮組みし、ボルト及びタッピングの孔位置をライナーへ写していきます。全ての孔位置を罫書き終えたら、ベース金物からポストと補強金物を再度ばらしていきます。その後、ブラケット類のタッピング用下穴部は現状孔位置写し用のΦ2.0mmの下穴を開けているため、Φ7.0の本孔へ開けなおします。ポスト側はライナー表面に孔位置を写したため、その点をポンチを開け、タッピング部にはΦ5.0の下穴を開けました。同様にボルト部にはΦ9.0の通し孔を開けます。

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4-6-2.幅板下穴開け

  幅板は長さ1800mmの人口木の板を13枚調達しましたが、ポストへ固定するタッピングの下穴を開けていきます。穴位置を各板へ罫書き、幅板の下穴位置とポストの下穴を後で合わせるため、罫書いた孔位置へまずΦ2.0のドリルで芯穴を開けます。

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  幅板にΦ2の芯孔を開けたら、その穴位置をポストへ写していきます。何故このような面倒な事をするかというと、前回ウッドフェンスを作った時、幅板に設計値で下孔を開け、ポスト側も設計値で下穴を開け、ポストを立てて幅板を取り付けて行ったのですが、孔の位置が合わない場所が続出、ポストの穴位置修正を多数行いました。恐らくドリルで穴を開け始める際にビット先端が設計中心位置がずれて切り込まれていったものかと思われますが、同じ事象を皆無に抑えることは困難であり、更に今回はポストがアルミにて、立てた後で穴を開け直すのは大変そうなため、実際に開けた幅板の穴中心位置をポストに移すことで手戻りを最小限に抑えることにしたものです。

 まず、実際の配置と同じ間隔でポストを平行に並べます。この並べ方が雑だと全てが無意味になってしまうため念入りに並びの状態を確認し、仮固定します。

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 次に全体の形状を固定するため、最上段と最下段の幅板①⑪をポストに仮決めします。ここでポストのネジ部を痛めたくないため、本番の5.0より小さい3.5のタッピングで①と⑪の幅板をポストに固定します。これでポストの位置が固定されました。後は他の幅板の芯穴位置をポストに写していくのですが、写す際に板がずれる可能性があるため、各幅板も両端1つずつは小さめのタッピングで仮固定した後で残りの孔をポストに写していきます。この時、幅板の間隔の基準スペーサーを用意しておくと便利です。今回は隙間15㎜ですが、15㎜のスペーサーになるものとして鋼尺を使用しました。

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 幅板の全ての芯穴の位置をポストに写し終えたら、仮留めしていたタッピングを外して幅板もばらし、今写したΦ2.0の芯穴の位置へ、幅板にはΦ6.0の、ポスト側はΦ4.0の下孔を開け直していきます。ただし幅板①と⑪は取付時も全体の基準とするため、これら幅板の下穴は遊び無しのΦ5.0で加工を行います。下部の⑫⑬は反対面に取付けのため、この後でポストを反転させて裏側へもタップの下穴を開けていきます。

 こうして幅板とポストの下穴開けを完成しました。

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 4-6-3.デッキ側下穴開け

  フェンス設置場所にある既設の手すりを取り外したら、フェンスのベースを設置する場所を罫書きます。タップ孔、ボルト孔の場所もマークし、穴を開けていきます。

 念のため設置場所の水平を確認しましたが、意外にも(?)大きなずれは無く、端部のみわずかにやすりで加工しましたが、ほぼ水平でした。

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4-6-4.ネジ塗装

 幅板取付け用のタッピングは狙いの寸法のものがユニクロしか無かったのですが、茶色の幅板に銀色のメッキのネジが目立つため、予めネジの頭をつや消し黒で塗装することとしました。全部で80本近くあるため、要らない段ボールにネジを差し、その頭をペンキで塗っていきました。ペンキを乗せすぎると頭の溝が埋まってしまうため、適度に調整が必要です。なおベース金具にも一部ユニクロタッピングがありますが、これらはベース金具毎最後に黒塗装します。

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4-7.取付施工

  ようやく下準備が完成したため、取り付けを行います。

 まず事前に、ベース金物へポストを装入し、正面の三角ブラケット、背面のCチャネルを取り付けます。なお正立させた時に垂直度の微調整を行う可能性があるため、タッピングは完全に締めこまず、最後に僅かに遊ばせておきます。

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 組立が済んだら、デッキ面への取付を行います。通しボルト、タッピングを順次取り付けていきますが、こちらも微調整の為に若干遊ばせておきます。ポストの正面及び側面に水準器を取り付け、垂直を確認しながら、遊ばせていたボルトやタッピングを締めこんでいきますが、ここでもまだ最後までは締めません。

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f:id:reikyonpp:20210620174719j:plain<2面垂直度の確認>

 ポストの施工が終わったら幅板を取りつけて行きます。まず基準としている①と⑪の幅板を取りつけますが、ポストはまだ完全に固定していないため、幅板の下孔とポストの下穴が合うように双方を揺らしながら合う位置を調整してタッピングを仮締めした後に、ポストのベースを固定し、幅板のタッピングを締め込みます。全体が決まったら、ベースのボルト、タッピングを完全に締め上げ、ボルト部はダブルナットで固定します。

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  ポストの固定が終わったら後は幅板を順次取りつけて行きます。 板の横幅が長いため2人でやると楽なのですが、嫁を引っ張り出すのも面倒なので、S字フックを組合わせて、仮支えの治具を作りました。一方をこの治具に引掛けて支え、もう一方を手で持ちながらタッピングを取りつけて行けば、一人で長板の取付け作業もできます。

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 こうやって順次表面の板を取り付け、下部は裏面から取り付けます。最下段幅板⑬はCチャネルの上の取り付けるため、コマを取付けてその穴の位置を幅板へ写し、下穴を開けてから板を取り付けます。

 

5.完成(一次)

  最後の⑬の板を取り付け、タッピングネジなどを塗装したら完成です。

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 剛性にこだわりまくったため、非常にがっちりとできました。これなら少々の台風でも全く心配ありません。根元から折れ曲がる前にアルミのポストが先に曲がると思います。

 ただ1点想定外だったのが、意外に板の隙間が大きく、隣がまだ見える事でした。元々の目的が目隠しだったため、狭めのつもりで板の間隔を15㎜にしたのですが、思ったより大きかったです。後日取り付け直すか検討課題として残りました。(下で修正)

 他は総じて満足のいく出来でした。

 途中ウェッジの製作などの無駄な時間もありましたが、設計と補強金具の加工に時間を費やし、週末のみの作業で、粗設計からは丸2ヵ月使っての完成でした。なお今回掛った費用は約4万3千円でした。(この時点)

 

6.幅板配置の修正

6-1.幅板間隔の見直し

 苦労して据え付けたフェンスですが、主たる目的が目隠しにも関わらず意外に隙間が大きかったため、上記の完成から1週間後に幅板の配置見直しを検討しました。元の間隔、15㎜の半分以下を目安に検討、一番下の⑬の幅板はCチャネルの上にコマを介して付けており配置修正が出来ないため、一番上①と⑬の位置を変えないように、ピッチを詰めていくと間隔6㎜で丁度入るため、間隔を6㎜として幅板も1枚追加しました。

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6-2.幅板修正

 上記寸法で幅板を取り付け直していきますが、土台が非常にがっちりと据え付けられ、ポストを立てた状態でも無理なくアルミに孔が開けられそうなので、今回はポストを立てたまま下穴を開け直します。間隔6㎜の治具(今回は板厚6㎜の端板があったため使用)を準備し、前回同様に仮吊具で板端を引っ掛けて支えながら、所定の間隔でセットし、幅板両端上部の孔位置をポストへ写します。一度幅板を外し、マークした位置へまずΦ2.0の芯穴を開けた後、タッピング用のΦ4の下穴を開けます。幅板をセットして両端2か所のタッピングを留めて板を固定したら、幅板の孔に合わせてポストへΦ4の下穴をそのまま開けていき、タッピングで締め込んでいきます。同じ手順で最後まで板を取り付け直したら完成です。

6-3.修正後完成

 こんな感じで仕上がりました。

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今度は板の隙間も十分小さく問題ありません。遠目で見るとこんな感じです。

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事前検討に大分苦労しましたが、剛性も高く、非常に満足のいく出来で仕上がりました。 今回最終的に掛った費用は約4万4千円でした。

 

 (参考)今回の購入品実績リスト

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