れきょぱのDIY紀行

DIY記録を書いていきます。誰かの参考になると幸いです。

 

洗面台の小物樹脂トレイの木製自作

1.洗面台トレイの自作

我が家の洗面台には(普通と思いますが)鏡の後ろにちょっとした収納スペースがあり、樹脂製の薄いトレイが備え付けられています。

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トレイの高さが変えられるように溝はいくつか付けられているのですが、トレイは左右で3つだけ。スペースはあるため、もう1つくらいトレイが欲しくなったのですが、ネットでパーツを探しても見当たらない。日立製のため各種補修パーツの類はネットにもあるのですが、トレイが無い。建築会社経由でメーカーに頼めば入手はできると思ったのですが、何故かそうはしたくない。3Dプリンターがあればこんな樹脂トレイ位簡単に作れると思うのですが、そんなものは持ってないし、まだ買おうと思うほどでも無い。

物置を物色していた時、t5の合板の余りがあるのに気付いた。木材でも作れるな。塗装を重ねれば樹脂と同様の仕上げにもできる。作ってしまおう!

 

2.トレイの設計

2-1.洗面台と現状トレイの寸法

まずトレイの入る洗面台の寸法をスケッチする。

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次に備え付けの樹脂トレイの大きさをスケッチ。

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2-2.トレイの設計

次に自作するトレイを設計します。と言っても、基本は備え付けの樹脂トレイと同じ寸法で、ただ木材で作らねばならないため一部簡素化する程度の違い。

まず最初に組立図を作製。

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次にこの組立図から部品図へ展開します。

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3.トレイの作成

3-1.部品の切り出し

まず部品図に合わせて合板へ墨出し。そして罫書いた線に沿ってノコで板を切り出していきます。t5のファルカタ合板なので手ノコでもあっという間に切れます。

材料を切り出し終わったら、仮組みして洗面台にセットしてみます。案の定底板が奥まで入らかったため、再度加工しなおしを行いました。奥のR寸法が想定よりかなり大きく、かなり削り落とさねばなりませんでしたが、塗装や組み立て前に修正出来て助かりました・・・。

なお素材が合板のため、表面はザラザラです。この後塗装を重ねていきますが、樹脂と同程度の仕上げを求めていきますので、材料を切り出したらまず表面をペーパーで研磨しておきます。ただいくら研磨しても合板は合板なのであまりやっても意味はありません。#400番程度のペーパーで表面の毛羽立ちを抑える程度で十分です。

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3-2.塗装手順:組み立てが先か?塗装が先か?

塗装は、組み立ててから塗装するか、先に塗装してから組み上げるか、2パターンありますが、塗装の品位を追求するなら先に部品の状態で塗装して表面を仕上げ、その後で組み立てた方が良いと思っています。もちろん後で塗装した方が良い点もありますが、塗装と研磨を繰り返し品位を上げるのであれば、単品の状態でないと研磨がしづらいからです。

今回も組み上げ前に部品の状態で塗装を仕上げていきます。

3-3.接合面のマスキング

 これから塗装を行っていきますが、その前に接合面のマスキングを行います。塗装の後に組み立てを行いますが、通常の浸透型の木工ボンドを使うため、接着面に塗膜があると接着できないからです。そのため接合面の塗装を剥離させやすいように塗装前にマスキングを行っておきます。

今回は 普通のセロテープをマスキングテープとして使います。予め接合部をシャーペンで罫書きをしておき、その上にセロテープを貼り、しっかり密着させます。

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その後でケガキ線に沿ってナイフで切断線を入れ、接合部以外の部分のテープを剥いでおきます。

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接着面となる板の端面も同様にマスキングします。

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実は一部マスキングを忘れていたことに後で組み上げるときに気づいたのですが、後からでも塗膜を削って落とすこともできます。でも先にマスキングしておいた方がはるかに楽です。

 

3-4.塗装と研磨

マスキングが終わったら塗装を進めていきますが、樹脂と同等の仕上げを求めるため、そのためには何度も塗装を行い、木目を潰していく必要があります。特に今回使用するファルカタ合板は表面性状が粗く木目の溝が深いため、特に入念に処置をする必要があります。今回塗料は水性塗料を使用しましたが、何度も何度も塗装を繰り返し、まず木目を完全に潰します。下の写真はサンプルで2回試し塗り後のものですが、特に白の塗装のせいもあり木目の溝がとても目立ちますので、しっかり潰していきます。

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以下の写真まで6~7回は塗装を行ったと思いますが、木目の凹凸がかなり深いです。

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この合板のように素地の木目溝が深いと、何度塗装を繰り返しても完全に木目を消すことはほぼ難しいです。木目の溝がある程度埋まったら、研磨して全体の塗膜を落としていきます。木目の溝の一番深いところに合わせて削らないと木目は消えないため、ほとんどの塗膜を削ることになります。

下の写真は上の写真の状態から研磨を行った後のもので、だいぶ木目が目立たなくなりましたが、まだ木目の溝が残っており、塗膜も薄くなってきているため、ここからまた塗装を繰り返します。

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塗装と研磨を繰り返し、木目の溝が潰れるまで繰り返します。

何回塗装と研磨を行ったか分からなくなりましたが、以下の写真で概ね木目が無くなりましたので、これで部材の準備完了です。

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塗膜の研磨は最初は#150位のペーパーで始め、木目が消えたら#240、#400、#800、#1200と番手を上げて仕上げていきました。

端面などは塗膜に対して研磨が深かったため一部素地が見えていますが、組立後に再処置します。

3-5.組立て

組立ての前に、塗装前に処置したマスキングを外します。塗膜が厚くなっており、マスキングのテープを剥ぐと周囲の塗膜も一緒に剥げ広がってしまう可能性があるため、マスキングのラインに沿ってナイフで予め切断線を入れておきます。塗膜が厚くテープの場所を探すのも大変ですが、こういう時は事前に設計図を作ってあれば、罫書き線=テープの場所が分かるので助かります。

一部マスキングを忘れている端面もありましたが、ペーパーで研磨して接合部の塗膜を全て剥がします。

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接合部の素地を出せたら組立てに入りますが、接合面もかなり研磨をしているため、接着の前に仮合わせを行って直角に接合するか確認し、必要に応じて修正を行っておきます。
仮合わせが済んだら、接合です。

まず鉛直と直角の合わせが必要な、側面と奥面を最初に組み立てます。垂直と直角面の出ている直方体の治具を複数用意し、一方の板を治具に合わせて垂直に固定します。次に最初の板と直角になるように他の治具を合わせ、その治具に合うようにもう一方の板をセットし、接合面が直角に合うことを確認したら、板を外して接着剤を塗布し接合します。再度直角定規等も用いて直角を再確認・修正したら、クランプで固定します。

ここで(私は失敗したのですが)はみ出た接着剤はしっかりと拭き取っておいた方が仕上げは綺麗になります。私ははみ出したまま固まらせ、後でその上に塗装をしたのですが、凹凸が目立ってしまい、結局後ではみ出した接着剤をナイフで除去し、また塗装をする羽目になりました。

接着剤が固定したらコの字のもう一枚の板も同様に接合させます。

下の写真は(見えづらいですが)左上のアクリルケースを垂直面の治具として使用。2つ目の治具は外して定規で直角を出しています。

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同様の手順で順次組み立てていき、最後の接合も終了。全体をクランプして放置。

なおファルカタ合板は柔らかく傷付き易いいため、クランプの際は別材をかましておく必要があります。

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3-6.仕上げ塗装

 接合面の面精度が不十分な点や塗装を広めに剥いでしまったりして、接合部の周囲は未塗装部や僅かな隙間がある程度生じてしまいます。

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そこで接合部をタッチアップで再塗装し、隙間を塗料で埋めます。

また端面など研磨によって塗装が薄くなり下地が透けているような部分も再度塗装していきます。再塗装した部分は念のため再度#1200~#1500の耐水ペーパーで研磨しておきます。

全体のタッチアップと仕上げ研磨が終わったら、最後にラッカースプレーで仕上げ塗装して完成です。

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4.取付け

洗面台へ取付けです。

上段の白い方が今回自作したもの、下のグレイのものが元々の樹脂トレイです。

引き出しの感覚なども違和感なくスムーズで良くできました。

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                           以上