久しぶりの投稿です。
最近ゴルフにはまり、自宅の庭で素振りなどもしていたが、近所に野球のネットを作っている家もあり、ゴルフ練習ネットを作りたくなってしまった。
1.基本設計
1-1.レイアウト計画
いつものように庭のレイアウトにゴルフネットのケージ(かご)の配置を計画する。
我が家の庭はウッドデッキや家庭菜園などを作ってしまっているため、空いている場所は限られている。
<レイアウト計画図>(中央黄色の枠部にケージを組立)
幅は、後述するが主柱を壁際に建てたいこともあり広めだが2.5mで設定。高さは高い方がクラブが当たらなくてよいが、これも後述する毎回の分解・組立が必要なため、施工性も加味して高さ2.0mとした。奥行方向はレイアウト制約から1.2mとしたが、ケージの中でスイングする訳ではないのでこれで十分。
1-2.本体部材検討
ケージの大きさは1辺が最大2.5mあるため、それなりに強度のあるものをフレームにしないと強度が足りそうにない。素人でも加工組み立てができ強度のある部材として市販の「イレクターパイプ」を使うこととした。イレクターパイプは外面に樹脂がコーティングされたスチールパイプで、接続のジョイント類も非常に多種類作られており任意の形状に組み上げることができる。パイプも標準で外径28mmのため強度も十分あり、ホームセンターでも良く取り扱われており申し分無し。
2.詳細設計
2-1.簡易な解体・組立の配慮
今回のレイアウトでの課題は、庭のど真ん中に設置せざるを得ないため、菜園等の通路を潰してしまうこと(広大な庭があればそんな心配は無用なのだが・・・)。そのためゴルフ練習を行う週末だけ組み立てて、平日は妻が庭を通行するために都度解体する設計をしなければならなかった。真四角のフレームを組んで常設できるのなら設計の苦労は何も無くただ組み立てるだけだったのだが、都度解体でき、使用時にも極力簡単に組み立てられるようにするためにかなり頭を悩ませることとなった。
上述のフレームのマンガ絵で青色のパイプは常設し、黄色のフレームは都度取外して組み立てるものとした。ケージの幅は機能的には2m程でも良かったのだが、そうすると主柱(縦のパイプ)が通路横になって通行の邪魔になり常設ができないため、敢えて幅を広げて主柱を壁際に常設させることとした。ネットも両側面のものはパイプに取り付けたが、天井と背面の物は都度解体した時に折りたたんでカーテンのようにまとめておくこととする。ただし都度組み立てるパイプへは完全固定でなく、都度外して簡単に取り付けられるようにせねばならない。完全固定部のジョイントはイレクターの樹脂ジョイントで接着固定をするが、都度取り外す部分は接着することはできない。初め、主柱上部のジョイントは樹脂ジョイントを採用したのだが、接着できない箇所は差し込みだけとなるため隙間があり、全体の剛性が不足してしまった。そのため一度取り付けた樹脂ジョイントを取りやめ、ボルト固定式のメタルジョイントに変更することした。(一度接着固定した樹脂ジョイントの取外しにはかなり苦戦したが)
全体の剛性を確保し、ボールを打ち込んだ時の衝撃に対する安定性なども加味し、フレームの構造を検討。
ネットに向かって右側前方は家の壁面となりエアコンの室外機があるが、そこをまたぐ形でレイアウトしている。剛性を確保するために主柱①②の下辺も⑨のようにパイプで連結させたいが、室外機があり干渉するため断念。その代わりに背面側主柱①の後方に支えとなる補強部材⑩⑪を追加する。背面側下面①と③の下辺も連結させたいが、通路の障害となるためここも中止。
なお、実は初回設計では再組立性や剛性などの課題が生じたため、製作後に多くの改造を行いましたが、話がややこしくなるのでこの記事では最終形だけを記載します。初回設計での課題点や苦戦した経緯は参考に別記事で紹介するようにします。
2-2.ネットサイズ
必要なネットのサイズを検討。
背面ネットは幅2.5m。主柱の高さは2.0mだがギリギリでは下から抜けていってしまう可能性があるため、20cmほどは余裕を取って高さ2.2mとする。従って2.5m×2.2m。
天井は幅2.5m×奥行1.2m。
都度解体・組立を行う簡便性のために天井と背面のネットは1体とするため、両者で2.5m×3.4mとする。
側面は幅1.2m、高さは背面と同様に2.2m。これを前後2面分必要。
2-3.ターゲット
ボールは背面ネットに向けて打つため、毎回かなりの勢いでボールが当たる事となり、ある程度丈夫なゴルフ用ネットでも背面ネットだけは傷んでくる事が予想される。その都度大きな天井背面ネットを交換するのも経済的でないため、背面ネットの前にターゲットを置き、そこに打ち込む形とする。
練習用ゴルフネットには的の絵が描かれたターゲットが使われている事が多いが、大半の物は帆布製となっている。帆布は非常に丈夫なためターゲットとしては適しているが、住宅地の庭で帆布にゴルフボールを打ち込むと、バーンとかなり大きな衝突音が響くと予想されるため、帆布製は採用しない。
今回は衝撃を吸収して衝突音も無い「ネット」を背面ネットの前に吊り下げてターゲットとすることとした。
(ターゲット素材及びその取付構造は失敗あり)
3.ケージの組み立て
3-1・材料手配
イレクターパイプやジョイントはホームセンターで扱っているため、必要量を整理して買い出しに出る。落ち着いて設計を完了させてから材料手配と組み立てを行えば良い物を、設計を行いながら買い出しと組み立てを進めたため、ジョイント等の部材の手配不足や設計変更等により何回もホームセンターに行く羽目になった。1日に数回行くこともあり嫁からは「ホームセンターに住んだら?」とまで言われる始末である・・・
また、ケージに使用するネットは当然ゴルフボールが抜けてはいけない。市販でもゴルフ練習用ネットとして多くの物が販売されているため、主となる天井・背面用のネットにはゴルフ練習用のネットを購入。必要なサイズは2.5m×3.4mであるが、ピタリのサイズが売られているはずは無く、最も近いサイズが3m×4mであった。必要サイズに合わせてカットしようかと考えていたが、ネットを確認すると縁に丈夫な補強材が施されていたため、余材は飛び出し防止の重ねに用い、カットせずそのままで使うこととした。
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一方で我が家の物置には以前グリーンカーテンに使用した園芸用の大きなネットが残っていた。ダメもとで見てみると大きさは2m×3mが2枚。ネットの網目も25mm角でゴルフ練習用と同じで、ゴルフボールが通過することはなさそう。耐久性は十分ではないと思われるが、強く当たることの無い前後の両側面に使用するには問題ないと思われるため、ここに余り物の園芸ネットを流用することとした。こちらは必要サイズに合わせて大きさをカット。
3-2.組立て
イレクターパイプはジョイントを固定して組み立てていくだけなので、ここまでくれば後は簡単。解体不要な部分については樹脂ジョイントで接合して接着剤で固定していき、メタルジョイントはネジをレンチで固定していくだけ。
パイプでのフレームが組みあがったら、そこにネットを取り付けていく。
取外し不要なネットはパイプにインシュロックで固定していく。取外し必要な箇所についてはリングクリップや網固定用のイレクタージョイントJ-38Aなどでパイプにネットを固定していく。側面と天井の接合部などはボールが飛び出していかないよう、ネットの余材を重ね合わせておく。
下の写真は打ち込む方向から見た写真。
次の写真は背面ネットの裏から反対に見たもの(向こう側から手前に打ち込む)。
全体の張りを整え、ターゲットを取り付けて完成。
下の写真は暗いので少し見づらいですが、背面ネットの手前にもう1枚、ターゲット用ネットを付けています。なおこの写真は衝撃吸収のためにターゲットの4隅をゴムひもで繋いで取り付けたのですが、ゴムの弾性のためにネットに当たったボールが手前側に跳ね返ってきてしまい、またネットだけでも衝撃時の音はほとんど出ないため、最終的には普通のひもでぶら下げた形としています。
4.後記
ボールは50球1000円のロストボールを購入。これで打ちっぱなしの練習場に行かなくても自宅で無料でゴルフ練習ができるようになりました。
なお住宅地では打った時の打球音は結構あります。アイアンなどのクラブのフェース面にウレタンを貼ったりしましたが、それでもそれなりに音は残ります。練習用のスポンジボールが売られているため、ご近所が近い方は最初からスポンジボールを使うことをお勧めします。
◆かかった費用
以下のように合計で約1.6万円。(ボールやスイング用のマット等は含まず)
市販でも簡易な練習用ネットは安価で売られています。取外し性なども考慮した結果ではありますが、これを安いとみるか高いとみるか。ただの真四角の常設ケージならもう少し簡単に安く作れるはずです。
我が家の庭には市販の物は設置困難なため、これが安価だったと思っています。