玄関ポーチの模様替え
我が家の玄関ポーチは以下の写真の「洗い砂利」仕様ですが、築10年、雰囲気を変えたくなってきました。
周りの家を見ていたら、乱張りなるもののポーチに目が止まった。
高級感あるあの石張りが我が家に似合うかは別として、気に入ってしまった。
玄関周りのため、DIYで失敗するとダメージ大だが、
ググってみるとDIYで頑張っている先輩方も多数おられる。
難易度は高そうだけどDIYでやってみよう!もちろん初トライ!
乱形石の手配
さてまずは肝心な石の選定。
近所のホームセンターにも売ってはいるが、種類も数も少ないのでネットで探すと、色々と種類がある。白、黄色、灰、赤、薄手、厚手、・・・
既存の洗い砂利の上に乗せるので、あまり厚いとタイルのポーチとのレベル感が変わってしまうため、薄手の石を選択した。後から考えると加工性の面からも薄手で良かったと思う。素人が厚手材を任意に加工するのはかなり大変です。
薄手となると選択肢は絞られてくる。結局ドイツの「ソルンホーフェン」なる薄黄色の乱形石にした。厚さ8~12mm。
今回階段部も乱張りにするので、歩留まり8割として概算で5.7㎡だったので6㎡注文。(ポーチ部の扇形の面積計算が大丈夫か心配でした…)
ソルンホーフェン ケース入り 薄石タイプ(ST06059)|天然石・石材の通販|サンワカンパニー
ネット注文後、結構すぐに石は届きました。6箱どーん。25kg/箱×6セットなので合計150kg!運送屋さんご苦労様でした。
期待と不安でドキドキしながら箱を開けると・・・、色合いはイメージ通り、石も大きなピースが多くて運送中の割れも少なく、とても良かったです。まずは一安心。
ポーチレベルの確認
ざっと見てポーチにかなり水勾配が付いているようなので、まずは現状のポーチレベルを計測。玄関側の角(下図左上の角)を基準点(GL=0)として、代表点の相対的高さレベルを計測していく。2点間(1点は測定済の点、もう1点が測定対象点)に基準ゲージを渡して水準器を乗せ、ゲージが水平になるように測定点のレベルを修正、その修正レベルで2点間の相対レベル差を測定していく。3角法で別方向からも測定して検証していき、全体のレベルを確認。3m程で50㎜。かなりきつい水勾配が付いている。
エッジレンガの選定
乱張りポーチ外周部のエッジングを検討。
元々のポーチの縁取りにしていた薄レンガは色がくすんできたのもあり、外してフェンスの方に使ってしまったので、別のエッジングを検討。ピンコロにするかレンガにするか随分迷ったけど、黄色の乱形石とのコントラストを優先してレンガにした。
ところが以前花壇やら作ったときは、近くのホームセンターで「オーストラリアレンガ」や「フランスレンガ」、「ベルギーレンガ」その他色んな種類のレンガを各店舗でそれぞれ持ってて、今回はフランスレンガの赤にしようと考えていたのに、今回廻ると普通の赤レンガ(基準レンガ)しか無い。他の店はあるだろうと3種類5店舗回るけど何故かどこも普通のレンガしか置いていない・・・どうなってるんだ?!店員に聞いてもどうせ結果は変わらないだろうし、ネットで注文しようかとも考えたけど、高い送料かけてまでの利点も無し。「基準レンガ」でも色合い的に悪い訳ではないので、少々味気は無いが「基準レンガ」エッジングに使うことにした。
据付レベルの設定とエッジレンガの据え付け
乱形石の厚さが平均10mmなので、モルタル代を20mmとして、石張りの上面レベルとレンガ天端レベルを今のポーチレベル(PL)+30mmとしてセット。(以下図は断面図)
両端部は周囲に合わせてレンガをディスクグラインダでカット。
モルタルを練り、水準器でレベルを見ながら順次据付。
目地は最後にまとめてやる。まずは以下でエッジングの完成。
石張りの加工
乱張りに関する留意事項として、「目地を大きく取り、石のカットはせず、ある形のままで張れば良い」というような点がDIYの本に記載されている。
下の写真は上記指針によるDIYでの作成事例。目地幅は20~30mmか。悪くは無いが、今一ピンと来ない・・・。
以下はプロの作品例。均一な目地幅はさすが素晴らしい!
上記写真の出典は以下です。
https://www.google.co.jp/url?sa=i&rct=j&q=&esrc=s&source=images&cd=&cad=rja&uact=8&ved=2ahUKEwiNu5C8r5zdAhWJwrwKHaLcAKEQjRx6BAgBEAU&url=https%3A%2F%2Fwww.pinterest.co.uk%2Fpin%2F707346685194854582%2F&psig=AOvVaw2wL3nQrmWwzblOq6o9z1yz&ust=1535979427212106
上の目地の詰まった写真を見ると、やはりこちらの方が良い!
今回は目地幅10㎜を目標に頑張ってみる!
乱張りの石の組み合わせの基本は、
などはどこでも書かれている。でも、個別の石のデザイン・形状の基本はどこにも書かれていない。石張りの施工例はネットにたくさんあるので、気に入った物をひたすら眺め、以下のようなデザインイメージで作ることにした。(一部は加工・施工をした後の反省でこうした方が良いというものも含んでいます)
- 大きな石を中心に据えて、比較的小さなものを縁部に据える。
- 小さな欠けらは基本使わない。
- 先に置いた石の切片に次の石の切片を合わせるが、先の石のラインが絶対ではない。後の石に合わせて前の石も加工する。ただし石の加工は、プレセットの時しかできないので予め造り込みをしておく。(本固定の時は前の石は貼付け済)
- (これは好みだが)石は極力直線状にカットして、目地は直線になるほうがきれい。元の石の縁が丸みを帯びていたり、凸形だと、そこに合わせる相手の石は逆Rとか凹形に加工しないといけなくなるため、直線状に加工しておいた方が良い。(いくつかそのままやってしまったが、後で後悔)
ハンマーでの石割
石の形を整えるために1枚1枚グラインダでカットしていては日が暮れるので、プロの技をネットで探してみると、「石割り」の動画がたくさんある。
良くあるのはハンマーなどの上に石の切断線を置いて上からたたき割るというもの。
【プロの技】乱張り 石割りの様子 - YouTube
乱形石に切断線を書いて、ゲンノウやブロックなどのエッジに載せ、ハンマーでたたいてみる。
が、思ったように割れることもあるが、全く意図していない場所からも割れる!
「石割職人20年の技」とか言うらしい。素人が簡単にできるはずもない。
が、思った以上に全くうまくいかない・・・。
大きな板のエッジを5mm程カットするつもりが、叩いた所と全く違う場所から大きく真っ二つに割れていく。石というよりガラスを割ってる感じ・・・。こちらが切れそうになってくる。この調子ではほとんどの石材が屑になってしまう。
素人の腕のせいもあるが、この薄石は叩いて割るには向いてないのではとも思って、石をよく見ると、最初から細かい亀裂が表裏まで貫通して入っている箇所がところどころある。自然石なので仕方が無いが、ハンマーでたたくと、こういうラインから割れるようだ。叩き割るのでなく、他の方法を検討したほうが良さそうだ・・・。
ホームセンターを物色していると「タイルカッター」なるものを見つけた。ガラスカッターのようなもの(最近見なくなったな)。
<タイルカッター>
あまり期待はできないが藁にもすがる思いでトライしてみる。切るラインで表面に傷を入れてエッジを曲げて(叩いて)割る。ハンマーで割るよりは狙いで割れる。ただこれだけではうまく割れない。タイルカッターで傷を入れて、更にラインに沿ってポンチで深くポイント(穴)を刻んでいき、そこから叩けばほぼ狙いで割れるようになった。
ただ大変だ・・・ 他に何か無いかな。
タイルニッパーでのカット
ネットで他の石切り動画を探していると、何やらパチンパチンと爪切りのように石を切って加工しているものがある。石の薄さなどの感じも私の調達したものに近い。
あれは何だ?!
石張り 舗装工事 オシャレなお庭に大変身! - YouTube
それらしき工具をホームセンターを探すも無い。やっぱりプロ用の道具かな・・・
道具の名前もわからないためネットで探すのも苦戦していたが、「タイルニッパー」という名前で以下の似たような工具がヒット!
プロが使っているものとは一緒では無いだろうが、とりあえず注文。
待ち焦がれて、注文したタイルニッパーが届く。
早速切ってみる。
パチン!切れる!しかも狙いのライン通りに!
厚手の石を切るのは少しきついが、厚さ10mm以下の石は楽に切れる。しかも石割のように意図しない所から割れることもほとんど無い!
今までの苦労が嘘のようだ。
やっと作業が進み始めた。
乱形石のプレカット
モルタルでの本固定の前に、事前に石をカットして形を作っていく。
最初、ハンマーやタイルカッターで切っていた部分はラインが乱れ、目地幅も均一になっていない。よほど気になる部分はもう一度ニッパーで切りなおす。
タイルニッパーはとても調子が良いが、使い慣れていない道具で体が悲鳴を上げてきた。硬い石を握って切っていくため、最初に手にマメができ、水ぶくれになってきた。このまま続けるとマメがつぶれてしまう。しばらく休憩が必要だ。次回からはテーピングで指をぐるぐる巻きにしてから皮手袋で作業。徐々に手の皮も厚くなってきてマメが潰れる心配は無くなってきたが、土日の二日間を朝から晩まで石を切り続けていると、今度は腱鞘炎になりかかってきた。ほどほどにせねば。
体力とにらめっこしながら作業を続け、やっとポーチ部の外周のプレカット完了。
各石にナンバーを付け並びを記録する。上の写真で石に貼っているのはガムテープ。ここに番号をマーク。ここは玄関から通りまでの通路のため、休日に作業を行った後、平日は家族皆が通る場所なので、作業後には仮置きしたこの石を全部片づけて、また次の土曜日にナンバーを見ながら置きなおしてから残りのプレカットの繰り返し。
以下は番号管理のためのメモ(上の写真と向きが反対です)。
後は周囲に決めた石に合わせて内側の石を加工していかねばならないため、パズルが難しくなる。残りの石を並べて見ながら使う石を決め、形を考えて加工していく。難しい神経衰弱だ。頭と手を駆使しながら中へ進めていく。職人さんはすごいな。今回、エッジ側から先に決めていったが、先に中央の大きなピースを決めてから広げて行った方が良かったのかな・・・? 正解は分からない。
タイルニッパーを使うようになってから意図しない場所で割れることはほとんど無くなったが、皆無ではない。石の全周を加工し終わる頃に真っ二つに割れるとダメージが大きい。こんな時に助けられたのが瞬間接着剤。ノーマルタイプでは吸われてしまい付きづらいが、ゼリー状アロンアルファは良く付く!最初はコンクリートボンドでつけていたが、はみ出すと汚いし、固まるまで時間がかかるため作業が中断するが、アロンアルファは瞬間接着で透明のため万能!助かりました。
ようやくポーチ部のプレカットがほぼ完了。目地幅もまぁきれいに作れたと思います。(石はまだ置いているだけです)
最初に石割加工でだいぶ無駄に石を屑にしてしまったため、後半は無駄遣いをしないように注意して進める。大きくカットする場合はグラインダーで切断するようにする。
次は階段部。
階段部分も同様に進め、全てのプレカットをようやく完了。
長い道のりだった・・・全体の8割が終わった感じ。
石の貼り付け
壁面(垂直面)の貼り付け
ついに石の貼り付けだが、階段部は壁面(垂直面)の上に踏面(水平面)を重ねるため、先に壁面から貼っていく。踏面は後で書くようにバサモルを使って貼り付けるが、壁面ではバサモルは崩れてしまうため通常のモルタルで貼り付けていく。貼付け面と石の裏面を良く濡らしてからモルタルを載せ、表面の凹凸が無いように調整しながら固定していく。壁面の石は固まるまでに重力で下に落ちてくるため、極力高さ方向は1枚で作り、下辺で支えるようにした方が良い。加えて養生テープなどでの固定も併用する。
目地は最後に入れるが、貼付けの段階で石の表面にモルタルが付いたら、濡らしたスポンジですぐに拭き取っていく。スポンジは洗車用の余ったものを使ったが、目地の拭き取りには角の立った直方体のものが良い。下の写真のような凹凸のあるものや楕円形のものは非常に拭き取りづらい。
後は同様に順次貼り付け。
なお、一番下の段の壁面は最初にハンマーだけで割って貼り付けたもの。形がばらばらで目地幅もガタガタ。石も余っていたので、後で全部外して付け直した。
踏面の貼り付け
バサモルの盛付けと最終形状調整
踏面の石の貼り付けはバサモルとノロで付けていく。
まずは角部から進めていく。
水を少なめにして練ったバサバサのモルタル(バサモル)を下地の上に盛り、ラフに表面を整えたら、プレカットした乱形石を載せる。エッジングしたレンガとのレベルに合わせてプラハンマーで叩いて高さを揃え、最終の形を確認。必要に応じてバサモルの量調整や形の最終調整をする。プレカットで一度形は作ってはいるが、高さもそろえて再度確認すると目地幅が不揃いになっていたりするため再確認と修正をする。石は薄手材のため、プラハンマーとは言え強く叩き過ぎると割れてしまうため、叩く強さには注意のこと。このタイミングが形を修正する最後のチャンス。ここで妥協すると永久に後悔することになるので、しっかりと作りこむ。ただ少量とはいえモルタルに水を練り込んでいるため、スピーディーに作業を行う必要もある。直線部は金やすりを使って表面を整え、再度バサモルの上から石を外す。
ノロでの石貼付け
バサモルでのレベルと最終形状の確認が終わったら、セメントを多めの水で練ったノロをバサモルの上にぼろオタマで掛け、外した石を載せる。レベルを見ながら再度プラハンマーで叩いて固定していく。
なお事前の合わせの際は目地が無いため、板厚のすべての面が見えているが、最後に目地を入れると表面のエッジ部のみが見える状態になるため、このエッジの部分で目地幅が均一になっていること、ラインが出ていることを確認しないといけない。石厚の中央部分で形状を作りこんでも、目地を埋めると見えなくなってしまうことに注意する。
順次広げていく。家族や宅急便さんなどに、モルタルの固まっていない所に乗られたらたまらないので、張り紙で注意書きしてます。
だいぶ進んできたけど、腰が痛くなってくる・・・
ようやくポーチ部の貼付け完成!
後は階段。一番下の壁面の貼り直しも実施。
階段部も貼ってほぼ完成!
乾くのを待って、後は目地入れ。
石が薄い黄色のため、濃い色の方が合いそう。普通のモルタルだと明るい灰色になるのと混合している砂利が目立つので、セメントのみで入れてみると比較的色が濃いため、セメントのみで目地とした。
各石の隙間、レンガの隙間、レンガとの隙間にゴムごてで流し込んで、スポンジで拭き取っていく。この拭き取りが地味できつい・・・。きれいに拭き取らないと石表面が汚れてずっと残ってしまうため重要な最後の仕上げだが、拭き上げても、きれいになった目地をまたスポンジで掘り起こして汚してしまう。目地に沿ってスポンジで拭き上げないとダメ。
また、最初素手で拭き取りをやっていたら、セメントで手の皮がボロボロになってしまった。セメントはアルカリ性が強いため肌が荒れます。男だから気にしないとか言ってると後が大変。ビニール手袋必須です。
そうこうしながら目地埋めも終わって、遂に完成!!!
それにしても疲れた・・・。
プレカットの形作りでパズル合わせに頭を悩まし、カットに疲れ。延べ2か月間、毎土日の実働14日間。
真夏の休日を朝から晩まで作業して、元々色白の私の体も職人のように真っ黒になりました。 (JKの娘が自分の腕と私の腕を比べて「私の肌白い!」と喜んでる…)
以前の殺風景なポーチから比べると随分明るくなりました。
良く見ると、目地幅は5~15㎜のばらつきあり、目地幅並行でない場所あり、目地が曲線になってぼやけてる、階段エッジ部の端面がガタガタとか、気になるところは多々あるけど、素人の初トライにしてはまぁまぁの出来かな。
かかった費用
今一使えなかったハンマーやタイルカッターも含みますが、実費4万円弱。
外構屋さんに頼んだら結構取られるのかと思います。
品名 |
単価 |
数量 |
金額 |
乱形石 |
4,680 |
6 |
28,080 |
輸入基本レンガ |
95 |
16 |
1,520 |
インスタセメント |
496 |
6 |
2,976 |
ポルトランドセメント |
397 |
1 |
397 |
タイルニッパー |
2,123 |
1 |
2,123 |
タイルカッター |
1,108 |
1 |
1,108 |
石割ハンマー |
1,166 |
1 |
1,166 |
アロンアルフア |
779 |
1 |
779 |
ゴムごて |
926 |
1 |
926 |
プラハンマー |
799 |
1 |
799 |
合計 |
|
|
39,874 |
色々と得られた技術はあるけれど、次に活かすところは多分無いだろうな…